ぷちぐれん日記

When life is gives you lemons, make lemonade~超気まぐれ日記

版画の年賀状

「今年の年賀状はどんなデザインにしよう」と毎年悩むこの季節。
私は3年くらい前まで版画の年賀状を出していた。もちろん全て手づくり。
今思うと自分でもよくやってたなあと感心してしまう。
キッカケは友達が作った版画の年賀状を見て一目惚れしてしまったから。

この友達は長年付き合っている仲のいい友達で
服装にしろインテリアにしろ全てに関してとてもセンスのいい人(おまけに美人!)。
彼女が作った版画の年賀状のデザインや配色がとてもかわいくて
今でもこの時の印象は鮮明に覚えている。版画に目をつけたところも新鮮だった。
理由を聞いてみたところパソコンやプリンターもなく
当時は独身だったのでよく送られてくる家族写真の年賀状をつくる訳にもいかず、絵も苦手。
で版画を思いついたのだそう。
さっそく翌年から一緒に年賀状を作成する事になった。

まずは本屋さんに行ってデザインを決める。
会社用の真面目なデザインと友達用のなんでもありのデザインと両方選び
版画用の板に貼付けて乾かしておく。
そしてお互い都合のいい日を決めて午前中から彫り始める。
いつも行動するのは午後からの私達だったけど年賀状の時は特別だった。
場所は私の家。昼食用に美味しいパンを友達が買って来てくれた。

大体の人が小学校とかで経験済だと思うけど、版画を彫るのは大変な作業。
細かい作業に集中し過ぎて気持ち悪くなったり手が痛くなったり。
何度も挫折しそうになるのをお互い励ましあって進めた。
彫り終えたら刷る作業。これがまた大変。
絵の具を溶かす水の量が微妙で調節が難しい。
水分が少ないとかすれてしまうし多いと垂れてしまう。
2、3色は使っていたのでお互い塗る色と場所を決め素早く塗り終え
ハガキをズレない様に載せバレンで擦る。2人の絶妙なタイミングが必要。
全て擦り終わったら部屋中に重ならないように並べて乾かしておく。
ここまで作業してやっと晩御飯を食べにお出かけ。
いつも遅い時間になってしまって食事に行く店も限られてしまい同じ店に行く事が多かった。
食事から戻る頃には版画も乾いているので二人分に分けてやっと終了!
でもこの後の宛名書きも手書きだったから随分手間暇かけてたよね~。

毎年苦労はあったけど毎回出来上がりにはとても満足していたし
一年に一回とはいえ段々上達もしてきて私達の間では欠かせない恒例の行事になっていた。
お互い喪中があったりして抜けた年もあったけど8年程続いた。
本当は頑張って12年続けてその後は使い回そうね、なんて話していたんだけど
彼女が東京に嫁ぐ事になり幕を閉じる事になった。

ところが次の年彼女から版画の年賀状が届いたので一人で頑張ったのかと思い聞いてみたら
なんと旦那様が手伝ってくれたんだそう!
版画の苦労を知っているだけにやっぱりもらっても嬉しいものだった。
私の方はというと…
版画とまではいかないけどそれなりに工夫はしていたけど
今年はなんと市販の年賀状で済ませちゃった!スゴイ手の抜きよう!
価格的にも私にとってはこの方がお得。やめられそうもない。

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これが版画を始めるきっかけになったもの。子年がスタート。
『頌春』てみんな読めるのかな?
私は辞書で調べました。
ちなみに“しょうしゅん”です。
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同じデザインでも5枚づつ配色を変えていた。
このデザインには忘れられないエピソードがある。
絵の具の水の量が多すぎて丑からタラ~っと絵の具が垂れてしまい
呪われているような出来上がりになってしまった。刷り上がりを見て二人で大爆笑!
「これ出したら嫌がらせだよね~!」という事で一枚ボツに。
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これは会社用のデザイン。シブくするつもりがお葬式の様になってしまったのでこれもボツ。
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「いいね-!完璧」「きっと売れるよ!商売にしようか」と毎回自画自賛
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この瞬間があるから続けられたのかも…。
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嬉しい事に「最近は版画じゃないんだね」と言われる事も。
楽しみにしてくれた人もいたみたい。
苦労した甲斐がありました。